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佐藤優入門(その3) ソビエト連邦の宗教政策とNHKスペシャル「中国激動」中国のキリスト教政策

さて、佐藤優ソビエト連邦末期において、共産党イデオロギー部への接近を図っている。当時、ソ連における最大の問題は3つあった。いうまでもなく経済と、民族問題、そして宗教政策である。この後者2つを管理していたのが、共産党イデオロギー部である。民族問題の専門家に接近する様子も詳しいがここでは省略し、宗教政策に限る。

 

(P422)

 共産党守旧は官僚のロシア正教に関する関心は、単なる知的好奇心だけでは済まされない。それは政治権力基盤の強化と直結した問題だといえるだろう。共産党マルクス・レーニン主義イデオロギーに立脚している。そしてマルクス・レーニン主義は科学的無神論を基本原則にしている。科学的無神論を維持したまま、ロシア正教会と手を握ることはできない。この捻れを解消するためには、イデオロギー的な操作をする必要がある。それを行うのは共産党中央委員会のイデオロギー担当官僚だ。この人物を割り出し、懇意になる必要がある。さて、どの切り口からアプローチしたらいいだろうか。

(怪P37)モスクワ大学哲学部には、共産党官僚や政治家を志望する学生が多かった。ソ連では政治学は“ブルジョワ学問”であると位置づけられていたので、大学に政治学科はなかた。もちろんソ連にも政治はある。それを担当するのは、モスクワ大学の場合、哲学部科学的共産主義学科であった。共産党官僚になったり最高会議(国会)代議員になるためには、マルクス・レーニン主義の知識を身に着けることが不可欠だ。特に弁証法の訓練で、「黒を白」「白を黒」と言いくるめる技法を身につける。(中略)さらに科学的共産主義学科では宣伝(プロパガンダ)と扇動(アジタチア)について系統的に訓練を受ける。

 

(付記)

さてこのくだりがはっと思い出されたのが、昨年放送されたNHKスペシャル「中国激動 さまよえる人民のこころ」である。

この番組では、それまで実態がよくわからなかった中国国内のキリスト教の実態がカメラで映し出され、かなりの反響を呼んだ。

 NHKスペシャル 中国激動「さまよえる人民のこころ」

(リンク)

http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1013/

(動画) ※FC2動画への登録は各自の判断で 

http://video.fc2.com/content/20131022SXGgE2Yc/

 

たまたま知人が知り合いだったので聞いたが、放送に当たっては、中国当局から直前まで注文が入ったらしい。(※上記の公式HPでもキリスト教の文字は一切入っていないことからもそれはわかる)
番組は半分(30分)が儒教系の宗教、もう半分が国内のキリスト教会を取り上げている。
(推測だが)これは、半分の時間を割いて国家公認(主導)の儒教系宗教団体をアピールさせることとバーターで、キリスト教パートの紹介を許すメリットがあるという判断と思われる。

キリスト教パートの地下教会の生々しい(潜入取材的な)迫力に比べ、
儒学パートの映像の迫力のなさはまた対照的である。ほとんど政府プロパガンダ映像にしか見えない。
(私がクリスチャンであるというバイアスを差し引いても)

驚いたのはよくぞこの取材と放送を許したなということだ。
①家庭教会(地下教会=当局に届けをだしていない非公認の教会とナレーションでは説明)の礼拝の様子
②現役治安関係者、警察、軍人、共産党幹部(がキリスト教の洗礼を受ける様子

③牧師が「私たちの活動が国に管理されるのはよくないと思う」とカメラに向かってしゃべっていること
カトリック教会において、ベネディクト16世(取材当時と思われる)の巨大な写真パネルを掲げている様子
(中国政府は、国内のカトリック神父の叙任権を握っており、ローマバチカンの介入を認めていない)
⑤上記の共産党幹部の家で、神父が聖水によるお祓いをしている。そして入信をすることをカメラに
⑥上記の神父が「この地方ではイエス様への信頼は共産党と同じぐらい強いものなのです」と発言。


などを撮影、放送していること。

また政府公認の教会の牧師(上記③の牧師)が、地下教会の信徒、教職者を集め学習会をしている様子もある。
この牧師(陳牧師)が極めて雄弁で身振り手振り、話し方、すべてにおいて非常に力強い。あまりにも能弁で見事な話っぷり、そして宗教政策について国家批判をカメラの前で可能であることからおそらくこの牧師が、政府によるなんらかのプロパガンダ専門教育を受けている人物であるというにおいは濃厚にする。そうでなければ、このような取材も撮影も不可能だろう。

これは、おそらく政府が、すべての地下教会を把握するのではなく、国家管理の教会を通して管理するという二重構造があると思われる。
また、このような放送を海外の大メディアで放送を許すということ自体が、中国政府がキリスト教をかなり把握しているという自負と、カトリック教会との関係回復のアピールと推測することも可能ではないだろうか。さらに、伝統的な儒学によるイデオロギーで、資本主義による内面のひずみを統合していくという意思を感じることも可能だろう。

さらに興味深いのは13:00前後。中国では憲法で外国勢力による宗教の布教を禁じてきた。しかし2007年の第17回共産党大会での宗教政策の転換として紹介される映像がでてくる。
胡錦トウが「宗教界の人々にも経済、社会発展させる役割を果たしてもらう」と発言している様子。

これは中国共産党イデオロギー政策の転換を示している。

 

宗教を黙認し二重構造において支配し、国家統合のためにイデオロギーとして宗教を利用しようとする。この二点において佐藤がソ連で見たものは、まさに今中国で試みつつあることなのである。(そしてそこまで強烈ではないが、安倍政権によって日本でも)


最近、中国国内のキリスト教徒は2億人にせまり、”世界最大のキリスト教徒を抱える国となる”と
報じられた。

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=87116


おそらく中国の行く末を握る、最大の要素がキリスト教なのであり、
それを読み解く際に、佐藤優の見たソビエト連邦におけるキリスト教政策
は一つの前例としてヒントになるのだと思う。

 

 

 

・・・いいかげん書くのに飽きてきたが、ここまで書いたのでもう少し書く

その4、鈴木宗男イスラエルロビーと佐藤優につづく